Great Questionとは

Great Questionは、顧客調査の募集・日程調整・実施・分析・共有を1つの画面にまとめたUXリサーチ基盤。

ServiceNow、Brex、Canva、Asanaなど300以上のチームが利用し、2025年11月にInovia Capital主導で1300万ドルのSeries Aを調達した。出典

ストーリー

創業から成功に至るまでの道のり。

2025年11月12日、Great QuestionはInovia Capitalが主導する1300万ドルのSeries Aを発表した。

累計調達額は1660万ドル、チームは55人。

顧客にはServiceNow、Brex、Asana、Canvaが名を連ねる。出典

「調べたのに、誰も読んでいない」

創業者のNed DwyerとPJ Murrayが最初に置いたのは、機能の一覧ではなく、自分たちが何度も見てきた光景だった。

顧客インサイトは誰も読まないスライドに埋もれ、誰も使わないツールに閉じ込められ、数十のチームを数人のリサーチャーが支える——その構造を、2人は「ボトルネック」と呼んだ。出典

彼らが自社サイトで最初に示す数字は、インタビューした企業の95%が「顧客調査をやっていない、または足りていない」と答えたというものだ。

足りないのは意欲ではなく、調査を意思決定のプロセスに組み込む仕組みだと彼らは見ている。出典

Eltoを売った2人が、YC Winter 2021で起案した

Ned Dwyerはオーストラリア・メルボルンで制作会社を経て、フリーランス開発者のマーケットプレイスEltoを共同創業し、2015年にGoDaddyへ売却した。

PJ MurrayはそのEltoを共に作ったCTOで、南アフリカ生まれ・ニュージーランド育ち、オーストラリアで10年ソフトウェア開発をしてきた人物だ。出典

2人がGreat Questionを立ち上げたのは2021年。

Y CombinatorのWinter 2021バッチに参加している。

当時の説明は「ユーザーリサーチをオートパイロットにする」だった。

募集、日程調整、インタビュー、サーベイ、プロトタイプテスト、そしてチームへの共有までを1本の流れにする、という宣言である。出典

転機は「AIが読む」から「AIが動く」へ

2026年8月、同社はGreat Question AIを投入する。

リポジトリ全体に対するAsk AI、AIモデレーター、そしてMCP経由でClaude、ChatGPT、Cursor、Gemini、Copilotから130以上のアクションを実行できる連携だ。

調査設計、スクリーナー作成、募集、文字起こしの読み込みまで、AIがプラットフォームの外から操作できる。出典

同月末には、参加者の発話に合わせて質問を変えるagentic moderatorを提供開始した。

インタビュー、サーベイ、プロトタイプテストで利用でき、録画と文字起こしは既存のスタディにそのまま戻る。出典

1300万ドルの使い道

調達資料で同社が掲げたのは3点。

調査へのアクセス拡大、AIによる調査設計・モデレーション・検証、そして人材採用だ。

Ned Dwyerは声明でこう述べている。

リサーチの民主化、つまり非リサーチャーが高品質なUXリサーチを行い関われるようにすることは、業界の次の大きな転換です。AIが調査設計、統合、共有を支えることで、すべてのチームが顧客インサイトを中心に開発できるようにします

投資家側のKory Jeffrey(Inovia Capital)は「エンタープライズ品質のガバナンスを前提に設計された、唯一の真にエンドツーエンドなリサーチ基盤」と評価している。出典

数字より先に、習慣を作れるか

現在の顧客は300チーム以上。

価格はセルフサーブで1席あたり月129ドル、エンタープライズは年払いの個別見積もりで最低5席。

席を売るのではなく、調査を回す人数を増やす設計だ。出典

調査ツールの導入は、たいてい「ツールを買う」で終わる。

Great Questionが賭けているのは、その後にある習慣のほうだ。

ツールの出来で決まる部分と、組織の意思決定の作法で決まる部分を分けて見られるかが、この製品を評価する軸になる。出典

独自分析

PMF (プロダクトマーケットフィット)

顧客調査は「やりたいが回らない」領域である。

同社は、インタビューした企業の95%が顧客調査をしていない、または足りていないと答えたと紹介する。

痛みは調査手法の知識ではなく、募集・日程・分析・共有が別ツールに分かれ、数人のリサーチャーに集中する運用にある。出典

Great Questionは募集から共有までを1つの流れにし、PMやデザイナーが自走できるようにした。

結果としてServiceNowでは165人のリサーチャーが1つの基盤で自走し、採用期間は118日から6日に短縮したとされる。出典

AIモデレーターとMCP連携は、この「自走」の対象を人間からAIエージェントへ広げる。

調査を回す人数の制約を、ツール側で外しにいっている点が現在のPMFの中心だ。出典

参入障壁 (Moat)

参入障壁の中心は、顧客パネルとCRM、調査履歴を同一の場所に蓄積する構造にある。

研究を重ねるほどリポジトリが厚くなり、Ask AIの回答精度と監査可能性が上がるため、乗り換えコストが時間とともに増える。出典

加えてSOC 2 Type II、HIPAA対応、データ処理契約といった統制資料を揃えている点は、エンタープライズの調達審査を通すうえで模倣に時間がかかる。出典

ネットワーク効果

ネットワーク効果は弱い。

参加者パネルはRespondentやUser Interviewsなど外部提供で、自社顧客の増加がそのままパネルの質を上げるわけではない。出典

一方で、社内に閉じた効果は強い。

同じ組織の研究履歴が1つのリポジトリに集まるほど、新しいチームの学習速度が上がり、社内標準として固定化される。

効果の範囲は「会社の中」に限定される。出典

ターゲット

主対象は、従業員300〜10,000人規模のB2Bソフトウェア企業で、UXリサーチャーとResearchOpsを中心に、PM・デザイナー・マーケターへ展開する組織。

ServiceNow、Brex、Canva、Asana、Experianのような、調査の需要が社内で偏在する企業が典型だ。出典

向かないのは、単発のアンケートだけを回したい小規模チームや、調査を完全に外注したい企業である。

年間契約と席課金が前提のため、月1回の軽い利用では費用対効果が出にくい。出典

成功要因

第一に、研究者向けの機能ではなく運用の分断を解いたこと。

募集・日程・インセンティブ・分析・共有を1つにまとめ、Sinchは8ツールを統合して35%のコスト削減につながったと公表している。出典

第二に、エンタープライズの統制と民主化を同時に設計したこと。

SOC 2 Type IIとGDPRを前提に、ロールと権限、監査ログを用意したうえで、非リサーチャーに開放する。

この順序を逆にすると大企業では導入が止まる。出典

第三に、比較コンテンツを継続的に積む growth 設計だ。

MazeやUser Interviewsの代替記事を自社ブログで継続公開し、買い替え検討の入口を押さえている。出典

失敗・課題

ARRと顧客数を除く収益指標は非公開で、成長の持続性は外部から検証できない。

累計調達1660万ドルに対してチーム55人という規模は、エンタープライズ営業とAI開発を同時に進めるには余裕が大きくない。出典

AIモデレーターは、回答の質と参加者の真正性の両方を問われる領域だ。

同社自身が参加者詐称や合成回答のリスクを記事で扱っており、AIが質問するほど「本物の顧客か」の検証コストは上がる。出典

またUserTesting、Qualtrics、Dovetail、Mazeといった既存ベンダーがAI機能を急速に取り込んでおり、機能差の寿命は短い。

価格は1席129ドルで、席を増やすほど高くなるため、全社展開の稟議では予算の壁に当たりやすい。出典

グロース戦略

獲得は3層である。

第一層はSEOと比較コンテンツで、Maze、User Interviews、UserTestingの代替記事や26ツール比較を継続的に出し、買い替え検討層を拾う。

第二層は顧客事例とウェビナーで、Canva、Miro、Brex、ServiceNowといった名前を入口にエンタープライズへ入る。

第三層がパートナーとコミュニティだ。出典

AIによる製品主導の獲得も加わった。

MCP経由でClaudeやChatGPTから調査を実行できるため、AIツール内での発見が新たな流入になる。出典

トレードオフは、セルフサーブ5席上限のままエンタープライズへ引き上げる動線が営業依存になりやすいことだ。出典

主要チャネル: SEO / 比較コンテンツ, 顧客事例, ウェビナー, パートナー, コミュニティ, MCP / AIツール経由の流入

学べること

第一に、業務ツールの勝ち筋は機能の足し算ではなく、分断された工程の接続にある。

第二に、民主化を掲げるなら統制の設計を先に出す必要がある。

権限と監査がなければ、大企業は開放に踏み切れない。出典

第三に、AI機能は「読む」より「動く」に価値が移っている。

要約の精度で競うのではなく、調査を実行する側にAIを置いた点が示唆的だ。

自社プロダクトにAIを足すとき、どこまで実行権限を渡すかを先に決めるべきだと言える。出典

日本で展開するなら

日本では、リサーチ専任者を置ける企業が限られる一方、事業部門が顧客の声を直接取りに行く動きは強い。

UXリサーチャー1〜2人で全社を支えている組織にとって、募集と分析を1つにまとめる価値は大きい。出典

導入の焦点は、日本語のインタビュー品質と、社内稟議で求められる統制資料の整備になる。

SOC 2 Type IIやHIPAAの資料は揃っているが、日本の個人情報保護法や労務データの扱いについての説明は別途必要になる。出典

価格は1席月129ドルで、為替を含めると日本の中小企業には重い。

まずは1チーム5席の範囲でパイロットし、四半期ごとに調査本数と意思決定への反映率で効果を測る進め方が現実的だ。出典

主な競合

Timeline

創業から成功に至る道のり。転機ごとの収益・調達・バリュエーション (出典あり) も併記します。

  1. ローンチ出典

  2. Ned DwyerとPJ MurrayがGreat Questionを創業し、Y Combinator Winter 2021バッチに参加出典

  3. Inovia Capital主導で1300万ドルのSeries Aを発表。累計調達額は1660万ドル、チームは55人出典

    • 調達 $13,000,000
    • Series A
    • Inovia Capital
  4. Great Question AIを公開。Ask AI、AIモデレーター、130以上のアクションを実行できるMCP連携を提供出典

  5. 発話に合わせて質問を変えるagentic moderatorの提供を開始出典

  6. 導入チームが300以上に拡大し、比較コンテンツと顧客事例の蓄積を継続出典

    • ユーザー 300

ポジショニング

分析で挙げた競合プロダクトとの相対位置を示しています。

エンタープライズ価格帯で、募集から共有までを1契約に束ねるプラットフォーム型

参考リンク

関連プロダクト

Product Management / Research

Dscout

Dscoutは、ユーザーの生活の現場で行動と感情を記録するUXリサーチ基盤。参加者の募集、日記調査やインタビュー、AIモデレーション、分析、共有までを1つのワークスペースにまとめ、2026年8月にはMCPを一般公開してClaudeやCodexなどAIツールの中から直接スタディを走らせられるようにした。Chicago拠点。

United States · 出典 18

#MCP#Product Research#UX Research

Product Management / Research

Dovetail

Dovetailは、インタビュー、営業会話、サポートチケット、surveyなどの顧客データを集約し、AIで検索・分析・共有できるcustomer intelligence platform。研究者だけでなくPMや営業、CSも、根拠となる発言やテーマを意思決定へつなげられる。

AU · 2017 年 · 出典 13

#B2B SaaS#AI#customer-intelligence

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airfocus

airfocusは、顧客フィードバック、優先順位付け、product strategy、OKR、roadmap、deliveryを一つの文脈でつなぐProduct Management platform。2025年にLucid Softwareが買収し、product contextをAIとroadmapの意思決定へ広げている。

Germany · 2017 年 · 出典 12

#B2B SaaS#Acquired#AI

Product Management

Productboard

Productboardは、顧客フィードバックと市場情報を一つのproduct data modelへ集約し、優先順位付け・roadmap・delivery-ready specまでつなぐProduct Management platform。2026年にはProductboard Sparkを発表し、AI agentを使ってproduct discoveryからdeliveryまでを同じ文脈で扱う方向へ進んでいる。

United States / Czech Republic · 2014 年 · 出典 15

#B2B SaaS#AI#Roadmap