OpusClipとは

OpusClipは、長尺の動画をAIでSNS向けの短尺クリップに切り出し、字幕やリフレームを付けて投稿まで行うAI動画ツール。

サンフランシスコに本社を置き、2022年に創業、2023年6月にプロダクトを公開した。

2026年9月時点で世界2,000万人以上のクリエイターと企業が使い、累計4.4億本のクリップが作られている。出典

ストーリー

創業から成功に至るまでの道のり。

2023年6月、OpusClipは「長い動画を貼ると、SNS向けの短いクリップが出てくる」というだけの道具として公開された。

共同創業者でCEOのYoung Zhaoは、編集スキルの差が発信量の差になってしまう状況を問題視し、「The inspiration was to democratize this tedious process through AI, so all the creators in the world would be able to access all the technologies」とインタビューで述べている。出典

人材エージェントから動画ツールへ

Zhaoはもともとクリエイター向けの人材エージェントを運営していた。

現場で見ていたのは、撮影はできるのに編集で止まってしまう作り手の多さだった。

学習コストの高い編集ソフトを覚える時間が、そのまま発信の量を決めていた。出典

会社は2022年にサンフランシスコで始まり、最初の製品は切り抜きに絞られた。

解析、選定、編集、投稿という4工程を1クリックに畳む設計で、2023年6月に正式ローンチする。出典

1年で600万人、ARR8桁

2024年9月、同社は$30Mの調達を公表した。

Series AをMillennium New Horizonsがリードし、AI Grant、Samsung Next、DCM Ventures、GTMfund、Jason Lemkinらが参加している。出典

同じ発表で、ローンチから1年で600万人の利用者とARR8桁に達したことも明らかにされた。

この時点でBillboard、Univision、Telefónica、Scott Gallowayといった名前が顧客として挙がっている。出典

切り抜きの外側へ

2024年9月の発表では、マルチモーダルな切り抜き機能「ClipAnything」も公開された。

台詞のないスポーツやvlogでも、映像・音・感情を手がかりに切り抜き位置を決める。出典

2026年には、撮りためた動画から必要な場面を探すOpusSearchと、企画から編集までを任せるAgent Opusが加わった。

単発の切り抜きツールから、動画制作の工程そのものを担う方向へ軸が移っている。出典

SoftBankの$20Mをどこに使うか

2025年3月、SoftBankのVision Fund 2が$20Mを出資し、調達総額は$50M、企業価値は$215Mと報じられた。

Zhaoは資金使途を人材と動画AIの研究への投資だと説明している。出典

2026年の現在地

2025年6月の2周年時点で1,200万人、累計2.29億本のクリップ。

2026年9月時点では2,000万人以上、4.4億本、1,600億回の視聴に達したと公表している。出典

品質面では、自社で301本のリフレーム比較テストを回し、Klap、Vizard、Veed、Submagic、Descript、Riversideの6製品に対して唯一「Good」評価だったと公表した。

切り抜きの巧拙を測る基準を自ら作り、それを比較広告に使う段階に入っている。出典

独自分析

PMF (プロダクトマーケットフィット)

OpusClipが刺さるのは、長い動画を毎週出しているのに、切り抜きに人手を回せない配信者と小規模チームだ。

ポッドキャスト、ウェビナー、インタビューを、編集者を雇わずにSNS向け短尺へ変換できる。出典

証拠は利用の伸び方に出ている。

ローンチ1年で600万人、ARR8桁に到達し、2年で1,200万人、4.4億本のクリップが作られた。出典

ただし刺さっているのは「切り抜き」という工程であって、動画制作全体ではない。

だから会社は編集、検索、エージェントへと対象を広げている。出典

参入障壁 (Moat)

参入障壁はモデル単体ではなく、クリップの採点基準とデータのループにある。

自社で301本のリフレーム比較を回し、品質を測るものさしを先に作った。出典

加えて、数百万本の書き出しとSNSでの実績データがモデルの微調整に戻る。

利用者が増えるほど採点と編集の精度が上がる構造は、後発が同じ速度で真似しにくい。出典

ネットワーク効果

ネットワーク効果は弱い。

利用者同士がつながる機能はなく、他の人が使うほど自分の切り抜きが上手くなるわけではない。出典

一方でデータの学習効果はある。

大量の書き出しとSNS上の成果がモデルの微調整に使われるため、利用規模そのものが精度の源泉になる。出典

ターゲット

長尺の動画を定期的に出すが、切り抜きに人手を割けない層。

ポッドキャスター、ウェビナーを多用するB2Bマーケター、代理店の制作チーム、そして大規模な動画資産を持つメディア企業。出典

成功要因

第一に、切り抜きという単一工程を最初から1クリックで完結させたこと。

解析・選定・編集・投稿を製品の中に閉じ込め、利用者に編集ソフトを覚えさせなかった。出典

第二に、利用の入口を無料に開いたこと。

Free $0、Starter $12、Pro $23という価格帯で、個人クリエイターでも続けやすい水準に置いた。出典

第三に、品質を自前で測る基準を作ったこと。

301本のリフレーム比較を公表し、比較検討の場で自社を優位に見せる材料にしている。出典

失敗・課題

数字の多くが自社発表で、ARRの実額や解約率、粗利は公開されていない。

売上規模を外部から検証する手段はなく、プラン数と利用者数から推測するしかない。出典

単価はFree $0、Starter $12、Pro $23と低く、AI推論コストを抱える構成でどこまで利益が残るかは不明だ。

クレジット制の消費設計は、重い利用者ほど原価が膨らむ構造でもある。出典

動画編集AIは機能の模倣が速い。

Descript、Veed、CapCutなど既存プレイヤーが切り抜きとリフレームを標準機能に組み込めば、切抜き単体の優位は縮む。出典

グロース戦略

獲得の中心は検索と無料プランの組み合わせだ。

Descript、CapCut、Riversideなどの競合名を使った比較ページと、無料の動画ツール群を大量に持ち、切り抜き目的の検索流入を拾っている。出典

次に効いているのが、プロの制作現場への入り込みだ。

Mark Rober、Diary of a CEO、Jubilee、Billboardといった名前を公式に列挙し、編集チームの基盤として使われていることを見せる。出典

製品側は切り抜きから編集、検索、エージェントへと上に伸ばしている。

一度取り込んだ動画資産をOpusSearchで再利用させ、Agent Opusで企画から編集まで任せる形にすると、解約しにくい位置取りになる。出典

主要チャネル: affiliate, content, partnerships, seo, social

学べること

最初の勝ち筋を「面倒な作業を1クリックにする」に絞ったことが大きい。

機能を並べるのではなく、切り抜きという単一の作業を完結させた。出典

料金を無料から始めてクレジット制にしたのも効いている。

使った分だけ原価が動くAI製品では、席数課金より消費と原価を揃えやすい。出典

ただし1機能で取った地位は、機能のコモディティ化と隣接プレイヤーの追随で必ず削られる。

OpusClipが編集・検索・エージェントへ広げているのは、その前提に立った動きだ。出典

日本で展開するなら

日本語圏では、切り抜き需要がYouTubeの切り抜きチャンネルとTikTok運用に集中している。

UIと字幕の日本語精度を上げれば、個人クリエイターと代理店の両方に届く余地がある。出典

ただし国内にはPremiere Pro前提の編集文化が強く、書き出し後の手直しを前提にした運用が多い。

ここに入るには、Premiere ProとDaVinci Resolveへの書き出しと、代理店向けの請求書払い・SSOが実質の前提になる。出典

主な競合

Timeline

創業から成功に至る道のり。転機ごとの収益・調達・バリュエーション (出典あり) も併記します。

  1. サンフランシスコで創業。長尺動画をAIで短尺に切り出す事業としてスタートした。出典

  2. ローンチ出典

  3. OpusClipを正式ローンチ。長尺動画からSNS向け短尺クリップを1クリックで生成する製品として公開した。出典

  4. $30Mの資金調達を公表。Series AをMillennium New Horizonsがリードし、6MユーザーとARR8桁を同時に発表した。出典

    • 調達 $30,000,000
    • ユーザー 6,000,000
    • Series A
    • Millennium New Horizons
  5. SoftBank Vision Fund 2が$20Mを出資。調達総額は$50M、企業価値は$215Mと報じられた。出典

    • 調達 $20,000,000
    • バリュエーション $215,000,000
    • SoftBank Vision Fund 2
  6. 2周年時点で1,200万人のクリエイターが利用し、累計2.29億本のクリップを生成したと公表した。出典

    • ユーザー 12,000,000
  7. 世界2,000万人以上のクリエイターと企業が利用し、累計4.4億本のクリップと1,600億回の視聴を記録したと公表した。出典

    • ユーザー 20,000,000
  8. 累計調達額 更新出典

    • 調達 $50,000,000

ポジショニング

分析で挙げた競合プロダクトとの相対位置を示しています。

セルフサーブの低価格帯にいながら、API・SSO・SOC 2を持つBusinessプランで企業にも届く。切り抜き特化から編集エージェントへ軸を広げている途中。

参考リンク

関連プロダクト