Branchとは

Branchは、モバイルアプリとWebをつなぐディープリンクと、チャネルをまたぐモバイル計測(MMP)を一体で提供するプラットフォーム。

2014年にAlex Austin、Mada Seghete、Mike Molinet、Dmitri Gaskinが創業し、2022年に$300Mを$4B評価で調達した。出典

ストーリー

創業から成功に至るまでの道のり。

自分たちのアプリで見つけた、壊れたリンク

Branchは、創業者たちが自分たちのアプリを育てるなかで、アプリ内の1ページへリンクできない問題に突き当たったことから始まった。

Alex Austinは2015年、当時の変化をこう述べている。

「4年前、インターネット利用のうちモバイル端末経由は3%だった。今日はほぼ40%だ」。出典

アプリ事業を売って、リンクに賭ける

Austinは2016年のブログで、ディープリンクがすべてのアプリで使われる可能性に気づき、自分たちのアプリ事業を売ってBranchに専念すると決めたと述べている。

当時すでに5,000以上のアプリがBranch SDKを使っていた。出典

TUNE買収で、リンク企業から計測企業へ

2018年9月、BranchはTUNEのAttribution Analytics事業とチームを買収した。

Austinは「TUNEは2011年にモバイルアトリビューション産業を作った企業だ」と述べ、リンクと計測をひとつの基盤に統合する狙いを説明している。出典

$4B評価と、プライバシー変更への適応

2022年2月、BranchはNEA主導で$300Mを調達し、評価額は$4Bに達した。

Austinは「私たちは起きている時間の3分の1以上をスマホで過ごし、その9割以上をアプリに費やしている」と述べ、ATTやデバイスの多様化にどう向き合うかを説明した。出典

AI計測へ

2026年、Branchは自社AIのIvyを軸に、リンク生成からインサイト提示までを自動化する「AI-powered MMP」へ軸足を移した。

公式サイトは、100,000以上のブランドが2014年以降に利用し、35億人規模のユーザーに到達すると説明している。出典

独自分析

PMF (プロダクトマーケットフィット)

Branchが刺さるのは、広告・メール・SNS・QR・CTVなど流入経路が増え、どの接点が売上に効いたのかを説明できなくなったモバイル中心のブランドだ。

計測ツールは数値を出すが、リンクが切れてアプリ内の目的地へ届かなければ体験は途切れ、計測も崩れる。

Branchはリンクと計測を同じ土台で扱い、6,000以上のエッジケースを自社で吸収する。出典

『計測の前に、遷移そのものを壊さない』という順序が、ATT以降のプライバシー変更で効いてくる。出典

参入障壁 (Moat)

リンクの解決ロジック、パートナー連携、計測の履歴が積み上がるほど乗り換えコストが上がる。

2,000以上の技術パートナーと、Apple・Google・Meta・TikTokなどへの計測連携は、単体のリンク短縮ツールでは再現しにくい。出典

SKAdNetworkやCTV計測のような仕様変更への追従実績も、MMP選定で効く資産になる。出典

ネットワーク効果

弱い。

企業ごとにリンクと計測データは閉じており、他社が増えても自社の計測精度は上がらない。

ただしSDKが組み込まれたアプリが増えるほど、リンクのエッジケース対応とパートナー連携が厚くなり、間接的に新規導入のコストが下がる。出典

ターゲット

モバイルアプリを主要チャネルに持つ小売・外食・金融・メディア・旅行などのブランド。

広告費が大きく、チャネル別のROASを説明する必要がある成長企業から大企業までが対象。出典

成功要因

(1) ディープリンクという開発者向けの地味な課題を、SDKとリンク基盤として標準化したこと。出典

(2) 2018年にTUNEのAttribution Analyticsを取り込み、リンク企業から計測企業へ事業を広げたこと。出典

(3) iOS 15のPrivate RelayやATTのような環境変化のたびに、NativeLinkやSKAN対応を先に出して信頼を維持したこと。出典

100,000以上のブランドが2014年以降に利用していると公式は説明する。出典

失敗・課題

ARRと収益性は非公開で、$300M調達後の利益率は検証できない。

価格も金額が公開されておらず、Basics/Essentials/Enterpriseの機能差でしか比較できない。出典

創業者たちはすでに経営の第一線を離れており、現在のCEOはDavid Karnstedt。

成長を牽引した創業期の意思決定と現在のAI路線が連続しているかは外からは判断しにくい。出典

計測領域はAppsFlyerやAdjustなどとの差別化が常に問われ、規制やOS変更のたびに製品の作り直しを迫られる。出典

グロース戦略

創業期はディープリンクを無料のSDKとして配り、開発者の標準を取る戦略だった。

2016年に$35Mを調達した時点で『リンクがすべてのアプリで使われれば持つ可能性』に賭け、自社アプリ事業を売ってBranchに集中している。出典

2018年のTUNE買収で計測へ、2022年の$300M調達でCTVやプライバシー対応へ投資を広げた。出典

現在はIvyという自社AIを入口に、リンク生成とインサイト提示を自動化する方向へ進んでいる。出典

主要チャネル: content, seo, community, events, partnerships

学べること

計測の精度は、計測そのものより前に『遷移が壊れていないか』に依存する。

Branchは地味なリンクの問題から入り、そのうえに計測を載せた。出典

OSやプライバシー規制の変更は計測企業にとって最大のリスクだが、同時に新製品の入口でもある。

NativeLinkやSKAN対応のように、環境変化へ先に手を打つことが信頼に変わる。出典

日本で展開するなら

日本はQRコード決済やアプリ経由の会員施策が定着しており、リンクと計測の断絶が起きやすい市場だ。

店頭QRからアプリの特定ページへ飛ばし、その後の購入までをチャネル別に見せる使い方は、小売・外食の実店舗連携と相性がよい。

導入時は日本語の法務・プライバシー要件と、広告代理店や計測担当の役割分担を先に決めることが定着の鍵になる。

(意見)

主な競合

  • AppsFlyer
  • Adjust
  • Singular
  • Kochava
  • Airbridge
  • Tenjin

Timeline

創業から成功に至る道のり。転機ごとの収益・調達・バリュエーション (出典あり) も併記します。

  1. ローンチ出典

  2. Alex Austin、Mada Seghete、Mike Molinet、Dmitri GaskinがBranchを創業。シード$2.75Mを調達した。出典

    • 調達 $2,750,000
    • Seed
  3. NEAとBen Narasinが共同主導する$15MシリーズAを発表。Pejman Mar Ventures、Cowboy Ventures、TriplePoint Capitalなどが参加した。出典

    • 調達 $15,000,000
    • Series A
    • NEA, Ben Narasin, Pejman Mar Ventures, Zach Coelius, Cowboy Ventures, TriplePoint Capital
  4. $35Mを追加調達し、累計は$53Mに。従業員50人から年内倍増を計画した。出典

    • 調達 $35,000,000
    • Series B
  5. TUNEのAttribution Analytics事業とチームを買収。ディープリンクと計測を統合し、40,000アプリ・1,000億リンクを扱う規模になった。出典

  6. iOS 15のPrivate Relayで壊れるディープリンクに対応するNativeLinkを発表。IPアドレスや確率マッチングを使わない設計にした。出典

  7. NEA主導で$300Mを調達し、評価額は$4Bに達した。従業員500人以上、16拠点、累計100,000ブランド超が利用。出典

    • 調達 $300,000,000
    • バリュエーション $4,000,000,000
    • Series F
    • NEA
  8. ファーストパーティデータ活用のAdLibertasを買収し、MMPとしての分析機能を厚くした。出典

  9. 自社AIのIvyを中心に据えた「AI-powered MMP」へブランドとプロダクトを再定義。100,000以上のブランド、35億人規模のユーザーに到達すると説明する。出典

  10. 収益スナップショット出典

ポジショニング

分析で挙げた競合プロダクトとの相対位置を示しています。

モバイル中心ブランド向けの計測+リンク基盤。純粋な分析ツールより実装寄りで、CDPより接点が下流。

参考リンク

関連プロダクト

Marketing / Attribution

AppsFlyer

AppsFlyerは、モバイルアプリの計測(アトリビューション)を起点に、Web・CTV・PC・コンソールまで横断して広告効果を測る計測基盤「Modern Marketing Cloud」を提供する。どのチャネルの広告費がどのインストールや売上につながったかを、プライバシー規制下でも中立・独立の立場で可視化することを柱にしている。

Israel · 2011 年 · 出典 16

#MMP#Israel#Mobile Attribution

Marketing / Attribution

Braze

Brazeは、顧客データをリアルタイムに統合し、メール・モバイル・Webなど複数チャネルのメッセージングとAI decisioningを一つのcustomer engagement platformで実行する企業向けマーケティング基盤です。

United States · 2011 年 · 出典 13

#AI#mobile-marketing#Customer Engagement

Marketing / Attribution

Northbeam

Northbeamは、ecommerceブランド向けにfirst-party dataを使った広告計測を提供するmarketing intelligence platform。multi-touch attribution、incrementality、media mix modelingを組み合わせ、広告のクリックだけでなくview-throughの影響まで収益と結び付ける。

United States · 2019 年 · 出典 13

#media mix modeling#marketing attribution#incrementality

Marketing / Attribution

Triple Whale

EC事業者向けに、ストア・広告・顧客データを統合し、attributionとAIを使って意思決定から実行まで支援するcommerce intelligence platform。

United States · 2021 年 · 出典 12

#e-commerce#AI#Marketing Analytics